挙上?外旋?水平内旋?筋トレ初心者が知っておくべき「体の使い方」

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挙上?外旋?水平内旋?筋トレ初心者が知っておくべき「体の使い方」

「バーを肩幅より少し広く握り、肩関節を外旋させる。同時に肩甲骨を下制する」これはチンニング(懸垂)をスタートする時のフォームの説明ですが、みなさんはこの説明だけで正しいフォームを作れるでしょうか。

「外旋」「下制」といった言葉は解剖学の用語で、これらを知っておくと正しい筋トレのフォームが身につきやすくなります。以下では人間の関節のうち、特に重要な5つの関節の使い方について、「動作の正式名称」「動作時に使う筋肉」「動作を使った筋トレ種目」を解説します。

また同時に各種目で使う筋肉をきっかけとして、各筋肉の解剖学的な視点についても紹介します。この視点を関節の動きと組み合わせると、ピンポイントで利かせたい筋肉を狙えるようになるからです。

少しマニアックな話になるかもしれませんが、必ず筋トレの質が上がる知識ですので、ぜひ参考にしてください。

肩関節の「使い方」

まずは最も多彩な動きができる関節、肩関節の8つの動作について解説します。

腕を前方に上げる「屈曲」

まずは腕を前方に上げる動作を指す「屈曲」です。

正確には体の脇に下ろした腕を、真っ直ぐ前方に上げる動作を「肩関節を屈曲させる」と言います。日常に近い動作ではランニングでの前方への腕振りなどが肩関節の屈曲に相当します。

腕を前方に上げる屈曲の動作で使われるメインの筋肉(主動筋)は三角筋前部、大胸筋上部、上腕二頭筋などです。

筋トレ種目でいうとダンベルを使ったフロントレイズやリバースグリップ・ベンチプレスが肩関節の屈曲を使った種目です。フロントレイズは主に三角筋前部、リバースグリップ・ベンチプレスは大胸筋上部がターゲットです。

フロントレイズはまさに屈曲の動作そのものですが、リバースグリップ・ベンチプレスはやや屈曲としてのイメージがしにくいかもしれません。

しかしこの種目を肩甲骨の屈曲運動をイメージしてやると、自然と鎖骨部分からわき腹に向かって放射状に伸びている大胸筋上部の筋繊維に沿った動作になります。筋肉をピンポイントで刺激するには、このような筋繊維の流れに沿った動作が必要不可欠。

そのためリバースグリップ・ベンチプレスを行うときは、肩関節の屈曲を意識することが重要なのです。

腕を後方に上げる「伸展」

腕を前方に上げる屈曲に対して、腕を後方に上げる動作が肩関節の「屈曲」です。

主動筋は背中の中部から下部に広がる広背筋、ちょうど脇の下にある大円筋、そして三角筋後部と上腕三頭筋です。ランニングのときに腕を後ろに振る動きも、この肩関節の伸展に該当します。

筋トレの種目では広背筋がターゲットとなるダンベルローイングや、手幅を狭めて行う懸垂であるナローチンニングが肩関節の伸展を使った種目です。ダンベルローイングを初心者がやろうとすると、どうしても「ただダンベルを引き上げる動作」になりがちです。

しかしそのときに「あくまで肩関節を伸展させる動作なのだ」と意識するだけで、途端に広背筋に負荷が乗りやすくなります。さらに言えばのちに説明する肩関節の外旋と肩甲骨の下制を加えると、もっと正確に広背筋を刺激できるようになります。

筋トレのフォームは動画などで大まかなイメージをつかむことも重要ですが、こうした解剖学的視点を取り入れるとイメージがより具体化します。

腕を体の外側に振る「外転」

次に説明するのは腕を体の外側に振る「外転」という動作です。

主動筋は三角筋中部や僧帽筋など。この動作、あまり日常では行いませんよね。筋トレをしていない人の三角筋中部が発達しにくいのはそのためかもしれません。

実際筋トレを始める前の筆者はかなり肩幅が狭く、ジャケットの肩の部分が余ることもしばしばありました。しかしこの肩関節の外転を意識して筋トレを始めてからは、これまで着ていたジャケットの肩が軒並みキツくなってしまいました。

肩関節の外転は、筋トレの種目で言えばサイドレイズやダンベルショルダープレスで使われる動作です。特にサイドレイズは肩関節の外転そのものなので、最もダイレクトに三角筋中部を刺激できます。

一方ダンベルショルダープレスは僧帽筋などに負荷が逃げやすいものの、大きな重量が扱えるのが魅力の種目となります。

腕を体の内側に振る「内転」

腕を体の外側に振る外転に対して、腕を体の内側に腕を振る動作が肩関節の「内転」です。

これは上半身の動作の中でも最も大きな力が発揮できる動作で、主動筋には広背筋と大胸筋下部という大きな筋肉が関わり、他にも大円筋や上腕三頭筋が使われます。

筋トレの種目としてはワイドグリップチンニングが該当します。一見するとチンニングは体を引き上げる動作ですが、ワイドグリップにすることで腕を体の内側に振ろうとする動作になります。

「体を引き上げる」と意識すると、勢いをつけたり肩をすくめてしまったりして僧帽筋など別の筋肉に負荷が逃げやすくなりますが、「腕を体の内側に振る」と意識するとより広背筋に意識を集中させやすくなるはずです。

腕を水平後方に振る「水平外転」

腕を水平に上げた状態から、後方に向かって振る動作を「水平外転」といいます。主動筋は広背筋、このほかに三角筋後部と大円筋も使われる動作です。

水平外転を使った代表的な筋トレ種目はダンベルリアレイズです。ダンベルリアレイズは腕を上げたときに手の甲が天井を向くやり方もあります。しかし三角筋後部を狙ってリアレイズをする場合は、小指が天井を向くフォームにした方がより三角筋後部に負荷が乗りやすくなります。

これは三角筋後部の筋繊維が、小指側から背中に向かって伸びているからです。このように本来の関節の動きに合わせて筋繊維の流れについても理解していると、自分の目的となる筋肉に応じてフォームの調整ができるようになります。

腕を水平前方に振る「水平内転」

水平後方に振る水平外転に対して、水平前方に振る動作を「水平内転」と呼びます。

主働筋は大胸筋、このほか三角筋前部や上腕二頭筋も使われます。水平方向に「引く」動作だった水平外転に対し、水平内転は水平方向に「押す」動作です。

水平内転を使う筋トレ種目の代表はダンベルフライです。ダンベルフライは大胸筋をメインに狙う種目ですが、ここでも胸の中心から体の外側に向かって広がる大胸筋繊維の流れを意識すると、より大胸筋に負荷が乗ります。「関節の動き」と「筋繊維の流れ」の理解。この2つが効果的な筋トレの基本です。

肩をひねる「内旋」と「外旋」

肩関節はここまで解説した6つの動作以外に、肩を内側にひねる「内旋」と外側にひねる「外旋」という動作があります。これらの動作には主に深層筋(インナーマッスル)が使われるので、「体を大きくしたい」という目的に合致した筋トレ種目はありません。

しかしチンニングのところで触れたように外旋は肩関節の伸展と肩甲骨の下制を組み合わせることで、広背筋へのピンポイントな刺激を作ることができます。今後筋トレをしていくにあたって必要になる知識なので、どういう動作なのかは理解しておくべきでしょう。

動作名 主働筋 筋トレ種目
屈曲 三角筋前部、大胸筋上部、上腕二頭筋など フロントレイズ、リバースベンチプレンスなど
伸展 広背筋、大円筋、三角筋後部、上腕三頭筋 ダンベルローイング、ナローチンニングなど
外転 三角筋中部や僧帽筋など サイドレイズ、ダンベルショルダープレスなど
内転 広背筋と大胸筋下部、大円筋、上腕三頭筋 ワイドグリップチンニングなど
水平外転 広背筋、三角筋後部、大円筋 ダンベルリアレイズなど
水平内転 大胸筋、三角筋前部、上腕二頭筋 ダンベルフライなど
内旋 インナーマッスルが主体
外旋 インナーマッスルが主体

肩甲骨の「使い方」

続いては肩関節と連動して動き、より広い範囲での腕の動きを実現している、肩甲骨の6つの動作について解説します。

肩甲骨を上下させる「挙上」と「下制」

まず紹介する動作は肩をすくめる動作にあたる「挙上」と、ほっと一息ついて肩をなでおろすときの「下制」です。挙上するときに肩甲骨は上に動き、下制するときに肩甲骨は下に動きます。

挙上の主動筋は僧帽筋上部と頭の根元から肩甲骨上部をつなぐインナーマッスルである肩甲挙筋(けんこうきょきん)、肩甲骨と背骨の間にあるインナーマッスルである大菱形筋(だいりょうけいきん)と小菱形筋(しょうりょうけいきん)です。

一方下制の主動筋は僧帽筋下部と、大胸筋の深層にあるインナーマッスル小胸筋です。筋肉の大きさ及び数からもわかるように、挙上の力の方が強く、下制の力の方が弱くなります。そのため基本的に筋トレで鍛えるのは挙上の力です。

挙上の動作の筋トレ種目はダンベルショルダーシュラッグが該当します。挙上の力を強化すると、連動する肩関節の動作での力も増すため、肩関節を使う種目のパワーや可動域が広がるというメリットもあります。

肩甲骨を前後させる「内転」と「外転」

次に紹介するのは肩を前に出して肩甲骨を開く「外転」と、肩を後ろに引いて肩甲骨を寄せる「内転」です。外転の主動筋は2つで、肋骨の上にあるインナーマッスル前鋸筋(ぜんきょきん)と小胸筋です。

どちらも力の弱いインナーマッスルなので、外転の動作を強化するためには地道な努力が必要です。一方内転の主動筋は僧帽筋中部と大菱形筋、小菱形筋です。表層筋(アウターマッスル)の僧帽筋が関わっているので、内転の動作の方が力が強くなります。

内転の動きを使う筋トレの種目は、こちらの動画で紹介されている腕立て伏せのバリエーション種目です。腕立て伏せのスタートポジションから腕を曲げずに、肩甲骨の動きだけで地面を押します。

これにより前鋸筋と小胸筋が鍛えられます。ただインナーマッスルはあまり負荷をかけると痛める危険があるので、十分注意して行なってください。

外転の動作を使う筋トレ種目としては先ほども紹介したダンベルローイングが該当します。ただし外転の主動筋(僧帽筋中部、菱形筋)を鍛えたい場合は、上の動画で説明されているローイングのうち僧帽筋に効かせるローイングを意識する必要があります。

すなわち広背筋を狙ったローイングよりも、高い位置で引くのです。これは背中の中央から下を中心に広がっている広背筋に対して、僧帽筋中部と菱形筋は背中の上部についているからです。

肩甲骨を回す「上方回旋」と「下方回旋」

肩甲骨の動作最後の2つは、内側に向かって回す「上方回旋」と肩甲骨を外側に向かって回す「下方回旋」です。

上方回旋は僧帽筋と前鋸筋が主動筋となります。一方下方回旋の主動筋はインナーマッスルで、大菱形筋・小菱形筋と小胸筋です。これまでの動作と同様、アウターマッスルの関与している上方回旋の方が強い力を発揮できます。

上方回旋を使った筋トレ種目には、ダンベルアップライトローイングがあります。アップライトローイングはバーベルを使うことも多いですが、ダンベルを使うことによってより肩甲骨の可動域が広がるため、上方回旋を意識しやすくなります。

アップライトローイングは三角筋をターゲットにする人も多い種目です。しかし上方回旋の主動筋(僧帽筋と前鋸筋)を意識するのであれば、「ダンベルを引き上げる」というイメージよりも「肩甲骨を内側に向かって回す」という意識を強く持ちましょう。

すると驚くほど僧帽筋に負荷が乗るはずです。これは三角筋を使う肩関節の外転を抑え、肩甲骨の上方回旋に意識を集中させるからです。

下方回旋を使った筋トレ種目は多くありません。しかし下方回旋の主動筋(菱形筋と小胸筋)を鍛えると、肩関節の内転がスムーズになったり力が強くなったりするメリットがあります。もし鍛えるとすれば、椅子を2つ使ったリバースプッシュアップのバリエーション種目がおすすめです。

リバースプッシュアップは通常上腕三頭筋をターゲットにした種目ですが、土台となる椅子を体の真横に1つずつ置いて行うと下方回旋の主動筋に効かせる種目になります。このとき意識するのは「肩関節の内転をしながら、肩甲骨を下方回旋させる」という動作です。腕で体を上げるのではなく、背骨と肩甲骨の間の菱形筋を使って上げるイメージを持ちましょう。

動作名 主働筋 筋トレ種目
挙上 僧帽筋上部、肩甲挙筋、菱形筋など ダンベルショルダーシュラッグなど
下制 僧帽筋下部、小胸筋
内転 前鋸筋、小胸筋 腕立て伏せのバリエーション種目など
外転 僧帽筋中部、菱形筋 ダンベルローイングなど
上方回旋 僧帽筋、前鋸筋 ダンベルアップライトローイングなど
下方回旋 菱形筋、小胸筋 リバースプッシュアップのバリエーション種目など

ヒジ関節と前腕の「使い方」

3つ目の関節はヒジの曲げ伸ばしを行うヒジ関節と手首を回転させる前腕です。それぞれについて2つずつ動作を紹介します。

ヒジを曲げる「屈曲」

「屈曲」はヒジを曲げる動作を指します。力こぶにあたる上腕二頭筋のほか、上腕前面のインナーマッスルである上腕筋や前腕の筋肉である腕橈骨筋(わんとうこつきん)なども主働筋として使われます。

屈曲に使う筋肉のうち、最も力の貢献度が高いのは上腕二頭筋ですが、実はその割合は40%程度。上腕筋や腕橈骨筋の貢献度も高いので、屈曲の力を強化したいのであればこれらも鍛えていく必要があります。

屈曲を使った筋トレの種目といえばダンベルカールですが、ここでは盲点になりがちな上腕筋と腕橈骨筋がメインターゲットになるハンマーカールをおすすめします。ダンベルカールと並行して行うことで、ダンベルカールの強化にもつながるはずです。

ポイントはヒジの位置を固定すること。ヒジが前後に動くと肩関節の動きが加わるため、ターゲットの筋肉から負荷が逃げてしまうからです。

筋トレで「反動を使ってはいけない」「動かしている部分は固定する」と言われるのはケガの防止という意味合いもありますが、「別の関節が動く→別の筋肉が使われる→ターゲットの筋肉から負荷が逃げる→筋肉がつかない」という意味合いもあります。

関節と筋肉の関係がわかれば、筋トレへの理解がどんどん深まりますね。

ヒジを伸ばす「伸展」

ヒジを曲げる屈曲に対し、「伸展」はヒジを伸ばす動作を指します。主動筋は上腕三頭筋。これをヒジについている肘筋(ちゅうきん)がサポートします。

屈曲にはいくつかの筋肉が使われていましたが、伸展に関してはほぼ全ての力を上腕三頭筋が担っています。しかし上腕三頭筋には名前の通り3つの筋肉(長頭、外側頭、内側頭)があるため、上腕三頭筋をまんべんなく鍛えるためには本来複数の種目でトレーニングする必要があります。

とはいえ、ひとつの種目でもある程度上腕三頭筋全体を鍛えることは可能です。その種目のひとつがトライセプスエクステンションです。

これはヒジの位置を固定した状態で、伸展の動作を行う種目です。ポイントは地面に対する上腕の角度をやや頭の方に倒すことです。こうすると上腕三頭筋に負荷を乗せ続けながら、伸展の動作ができます。

手首を回す、前腕の「回内」と「回外」

「回内」が手のひらを下に向ける動作、「回外」が手のひらを上に向ける動作です。

回内では前腕の付け根の親指側・手の甲側についている円回内筋と、手首の付け根についている方形回内筋が主動筋となります。一方回外では上腕二頭筋と、前腕の付け根の小指側・手のひら側についている回外筋が主動筋です。

肩関節の内旋・外旋と同じく、あまり大きな筋肉を使わないため、理想のカラダ作りのためにこの動作を使った筋トレをする必要がありません。しかし例えばダンベルローイングを行う際などに「前腕を回外した状態からスタートし、最後に回内になるよう上げると広背筋に効かせやすい」といった話が出てくるため、知っておいて損はないでしょう。

動作名 主働筋 筋トレ種目
屈曲 上腕二頭筋、上腕筋、腕橈骨筋など ダンベルカール、ハンマーカールなど
伸展 上腕三頭筋、肘筋 トライセプスエクステンションなど
回内 円回内筋、方形回内筋
回外 上腕二頭筋、回外筋

股関節の「使い方」

4つ目に紹介する関節は、脚の付け根にあたる関節「股関節」です。肩関節と同様に前後・左右・ひねりの三方向の動作が可能な関節であり、下半身の様々な動作に使われる重要な関節です。

以下ではこの股関節の6つの動作について解説します。

太ももを持ち上げる「屈曲」

脚を前に振り、太ももを持ち上げる動作が「屈曲」です。主働筋は上半身と下半身をつなぐ唯一の筋肉であり、重要なインナーマッスルである大腰筋。

このほか腸骨を覆う腸骨筋、大腿四頭筋のひとつである大腿直筋などが使われます。ちなみに大腰筋と腸骨筋をあわせて腸腰筋と呼びます。

股関節の屈曲を使った筋トレの種目には、腹直筋下部と腸腰筋をメインターゲットにしたレッグレイズが挙げられます。動画のようなフラットベンチがなくても、床に寝転んだ状態で柱などをつかめばどこでも行うことができます。

ポイントは腸腰筋への負荷が抜けないように、脚を垂直手前で止めること。このとき股関節の屈曲、すなわち脚を前に振り太ももを持ち上げる動作を意識すると、腹直筋下部だけでなく腸腰筋への負荷も意識しやすくなります。

脚を後ろに蹴り出す「伸展」

脚を前に振る屈曲に対して、脚を後ろに蹴り出す動作が「伸展」です。主働筋はお尻全体を覆う大臀筋(だいでんきん)や、裏モモ(ハムストリング)などです。

股関節の伸展を使った筋トレの種目のうち、最もメジャーな種目がデッドリフトです。動画ではバーベルで行なっていますが、ダンベルで行うことも可能です。

ただし重量が大きくなりやすいため、腰が曲がってしまうと痛める可能性がある種目なので、くれぐれも怪我には注意してください。

脚を外側に開く「外転」

屈曲・伸展が前後の動きなら、脚を外側に開く「外転」は左右の動きです。主働筋は腰の後ろ側の中臀筋と大臀筋上部、太ももの外側についている大腿筋膜張筋などです。

この動作は片足時にバランスをとるためにも使うので、強化すれば大腿四頭筋やハムストリングの筋トレにも効果があります。

外転の動作を使った筋トレ種目がサイドブリッジです。こちらの動画では体を地面から浮かせた状態をキープしていますが、これが辛い人は上げたり下げたりして回数でトレーニングを管理しても構いません。

その場合は体が地面に対して「へ」の字に曲がるまで体を持ち上げます。また「腰を上げる」というよりは、「地面側の脚を開く」という外転のイメージを持つことが重要です。

脚を内側に閉じる「内転」

股関節の左右の動きのうち脚を外側に開くのが外転なら、内側に閉じるのが「内転」です。この動作では内ももの筋肉、すなわち大内転筋や大臀筋下部などが主働筋となります。外転同様、体のバランスを保つために重要な役割を果たす動作です。

股関節の内転を使った筋トレ種目としてはワイドスクワットが挙げられます。より強く内転の主働筋に効かせるためには「膝を曲げ伸ばしする」というイメージではなく、「股関節を内転させる」というイメージを持つ方が効果が実感できます。

なお、ワイドスクワットは大内転筋や大臀筋下部以外にも、大腿四頭筋やハムストリングにも刺激が与えられます。

脚をひねる「外旋」と「内旋」

ひねる動作にあたる「外旋」と「内旋」のうち、股関節の外旋は脚を外側にひねる動作を指し、股関節の内旋は脚を内側にひねる動作を指します。外旋の主働筋は大臀筋とお尻部分のインナーマッスルで、内旋の主働筋は中臀筋を始めとする脚の付け根前部のインナーマッスルや大内転筋などです。

主働筋の多くが小さい筋肉であること、そして大きな筋肉は他の動作で鍛えられることから、外旋と内旋に特化した筋トレは必須ではありません。ただ股関節の動きに脚をひねる動作があり、進行方向の変更や体のバランスの維持に関係していることは知っておきましょう。

動作名 主働筋 筋トレ種目
屈曲 腸腰筋、大腿直筋など レッグレイズなど
伸展 大臀筋、ハムストリングなど デッドリフトなど
外転 中臀筋、大臀筋上部、大腿筋膜張筋など サイドブリッジなど
内転 大内転筋、大腿筋下部など ワイドスクワットなど
外旋 インナーマッスル
内旋 インナーマッスル

ヒザ関節の「使い方」

最後に紹介するヒザ関節は、上半身でいえばヒジ関節と同じ役割を果たしています。つまりヒジから先の前腕を動かすためのヒジ関節に対し、ヒザ関節はヒザから下の下腿(かたい)を動かすための関節なのです。

以下ではヒザ関節の2つの動作について解説します。

ヒザを曲げる「屈曲」

動作の名称と意味はヒジ関節と同じです。したがってヒザを曲げる動作は「屈曲」と呼ばれます。

主働筋はハムストリングが中心で、ふくらはぎにある腓腹筋も使われます。股関節の伸展と合わせてヒザ関節の屈曲を行うことで、私たちはより早く歩いたり走ったりできます。

屈曲の動作を使った筋トレには、ヒップリフトが挙げられます。この動画ではバランスボールを使っていますが、土台にするのは椅子でも構いません。

種目名に「ヒップ」とついているため、つい「お尻を締める」というイメージを持ちがちですが、かかとを支点にして「ヒザ関節を屈曲させる」という意識を持つとより主働筋(ハムストリング)に負荷が乗りやすくなります。

ヒザを伸ばす「伸展」

ヒザを曲げる屈曲に対して、ヒザを伸ばす動作は「伸展」といいます。主働筋は大腿四頭筋。屈曲と同様、歩いたり走ったり、跳びあがったりするために重要な動作です。

伸展の動作を使った筋トレは、「キング・オブ・エクササイズ」の異名を持つスクワットです。スクワットは伸展の主働筋以外にも、屈曲の主働筋であるハムストリングにも負荷をかけられます。

さらには股関節や足首部分の脚関節も使うため、ひとつの種目で下半身全体が鍛えられるという大きなメリットがあります。正しいフォームと適切重量設定で行えば、理想的な体づくりに欠かせない種目ですので、ぜひ取り入れてみてください。

動作名 主働筋 筋トレ種目
屈曲 ハムストリング、腓腹筋 ヒップリフトなど
伸展 大腿四頭筋 スクワットなど

まとめ

私たちは普段自分の体をほとんど無意識に動かしています。しかし解剖学的視点から見ると、実に様々な関節の動きを組み合わせていることがわかります。

筋トレを正しいフォームで効率的に行うためには、無意識に組み合わせている動きを意識的に分解し、目的の筋肉に効くように体を動かさなくてはなりません。だからこそ、ここで解説したような知識が必要なのです。

またこうした解剖学的な視点を筋トレに取り入れるメリットは、単に正しいフォームが身につきやすいだけではありません。「この動作ではこの筋肉が使われる」と知っているだけで、目的の筋肉がより意識しやすくなるのも大きなメリットです。

効果のある筋トレの大原則の1つに「意識性」が挙げられますが、効かせる筋肉を意識するのは理想的なカラダに近く重要なポイントです。解剖学的視点は、この意識性を強化してくれるのです。

フォームが崩れたり、いまいち目的の筋肉に効かなくなったら、ぜひここで解説した内容を思い出して、基本に立ち返ってみましょう。きっと思い通りの場所に筋肉痛が来るはずです。

参考文献
『筋肉の使い方・鍛え方パーフェクト事典』

  • この記事を書いた人
直人鈴木

鈴木 直人

筋トレ歴4年のホームトレーニー。本業はライター。新しいサプリを試すときは、まずスポーツ栄養学の専門書から入るタイプです。実際に試したトレーニングや器具の効果、食事からサプリやプロテインについて、科学的根拠をもとに初心者にも分かりやすく解説します。

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